相模原市・町田市 不妊治療専門クリニック神奈川 不妊治療 体外受精 PFC-FD療法 着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)

着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)について

体外受精や顕微授精により出来上がった受精卵(胚)の細胞の一部を採取(生検)し、
その細胞の染色体や遺伝子の異常の有無を調べるのが着床前診断です。

着床前診断には、
・遺伝病を調べるPGT-M(着床前胚単一遺伝子欠損検査)
・染色体構造異常を調べるPGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)
・胚の染色体の数を調べるPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)

があります。
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は、着床前診断のうちの一つです。

 

■対象者

研究対象者は、

① 反復ART不成功(体外受精・胚移植実施中で直近の胚移植で2回以上連続して臨床的妊娠が成立していない方)
② 反復流産(直近のご妊娠が流産以外(出産など)であっても、過去に2回流産を反復して経験している方)
③ 染色体構造異常(ご夫婦のいずれかにリプロダクションに影響する染色体構造異常を有する方)


日本産科婦人科学会から報告された統計によると、2017年1年間に日本で体外受精や顕微授精、およびそれらの凍結胚から生まれた赤ちゃんの数は、5万6千人以上となりました。この年の段階で、約16人に一人の赤ちゃんが、体外受精により生まれたことになります。 その一方で、胚移植しても妊娠しなかった方、妊娠しても流産された方も数多くいらっしゃいます。体外受精における治療成績は年齢が上がるほど妊娠率は低下し、流産率は上昇しますが、その原因の大きな一つが、受精卵(胚)の染色体異常、特にその中でも染色体の数の異常であることがわかっています。受精反復不成功の方々や妊娠しても流産を繰り返す方々の、精神的、身体的苦痛を軽減するために、日本産科婦人科学会では、その原因の大きな一つである胚の染色体の数の異常を胚移植の前に検査して、染色体の数の異常がない胚を移植する試みを2017年からパイロットスタディとして開始し、2020年から2022年8月までの期間、症例数を増やし臨床研究を実施しました。その結果、以下に示すメリットとデメリットを有することを示しました。

 

メリット
・胚移植あたりの妊娠率は上昇する。
・妊娠あたりの流産率が低下する可能性がある。
・無駄な移植を減らせる可能性がある。
・妊娠までの時間を短縮できる可能性がある。
・流産率を低下させ流産に伴う身体的、精神的負担を避けられる可能性が高まる。

 

デメリット
・胚生検時の胚への損傷により着床出来なくなったり、流産、児への影響が出る可能性があり得る。
・胚生検や解析が不成功に終わる可能性がある。
・検査の結果、移植できる胚が一つも無かった、ということもある。
・誤判定率が5~15%あり、正常判定でも児に異常が出たり、正常に生まれる可能性のある胚を不適や判定不能として廃棄する可能性もある。
・3倍体、4倍体等の異常は判定できない。
・正常と判定されても流産となることがある。
・胚移植あたりの妊娠率は上昇しても採卵あたりの妊娠率は有意差がない。

以上の経過を経て、日本産科婦人科学会は2022年8月をもって臨床研究の終了を宣言し、学会が許可した限定的な施設においてのみ一般臨床導入を決定しました。
当院はPGT-A学会認定施設となります。
注意点としましては、PGT-Aは保険診療との併用は禁じられており、あくまで自己負担にて行う診療行為となります(自費診療)。
つまり、PGT-Aを希望される患者さんの採卵・胚移植を含めた一連の行為は自己負担となります。ご注意ください。



■費用

PGT-Aカウンセリング/ 11,000円

胚盤胞PGT-A検査(胚盤胞1個あたり)/ 110,000円

その他、再診料や胚凍結料、移植料などは別途ご請求させていただきます。
また、必要に応じて追加のカウンセリングや検査費用をご請求させていただく場合があります。

 

PGT-Aをご希望のかたは、医師とご相談ください。

■Q&A

Q 希望すればだれてもPGT-Aを受けられますか?

PGT-Aは、日本産婦人科学会の提示する条件に当てはまる方のみになるため、希望されてお適応できない場合がございます。


Q 分割期胚は検査できますか?

胚盤胞での検査となりますので、分割期胚では検査は行いません。


Q すでに凍結保存している胚盤胞は検査できますか?

条件をみたしていれば、対象となります。


Q PGT-Aを行えば必ず移植できますか?

PGT-A検査結果によっては、移植可能胚がなく、移植に至らない場合があります。


Q PGT-Aを行った場合、新鮮胚移植はできますか?

PGT-A検査を行った場合は、新鮮胚移植はできません。
一度凍結保存して検査結果を待ちます。検査結果は3週間程度かかる可能性があります。
検査結果後、移植可能胚が得られてら融解して移植します。


Q 移植可能胚がえられて場合、次の周期も採卵することは可能ですか?

可能です。


Q PGT-Aを行えば元気な赤ちゃんが生まれますか?

PGT-Aは胚の染色体異数性を調べる検査なので、染色体以外に起因する流産や赤ちゃんの病気などはわかりません。


Q PGT-Aで赤ちゃんの性別はわかりますか?

学会の規定により、性別はお伝えできません。


Q PGT-Aを行った胚で妊娠した場合、羊水検査はうけなくてもいいですか?

PGT-Aは胚盤胞の栄養外胚葉(将来胎盤になる部分)の一部の細胞を採取して検査するため、羊水検査 (羊水中の胎児細胞を培養する検査) とは検査意義が異なります。極まれな胎盤モザイクを心配されるかたは、出生前検査である羊水検査の併用をご検討ください。